国道ピックとのりもの

2013.09.18 三重県道42号と台風18号


 今回の台風で、酷道険道マニアを中心ににわかに注目を集める三重県道42号。

 都道府県道は、2ケタは「主要地方道」と言って、文字通り主要な地方の道なんだが、日本は複雑な地形だらけで国道すらとんでもない狭隘路が続く酷道だらけだから、主要地方道なんて信じたらとんでもないような険道は、そこいら中にある。ただ、そんな名ばかり主要地方道は実際に通る機会も少ないから、国道同様つい2ケタの県道はまともな道だと錯覚しがち。

 おそらく、高速道路や国道が通行止めになってしまったんだろう、先般の台風の中、三重県津市から伊賀市に抜けるr42号を通った親子が、増水した川に流されて行方不明となってしまった。
もちろん私は、この道を知っているから、並行する名阪国道でさえ決して良い道ではないのに、台風時のr42なんかはシャレにならんだろうことは容易に想像できる。しかし、一般の人は知らないだろうね。ナビに誘導されてしまったのか、地図を信じたのか知らないが、気の毒だ。

 酷道険道マニアではある。
 バイクだけではなくクルマにしても、操作することそれ自体を楽しみと感じている小生にとって、整備されてデレッと直線的で、アクセルを煽るだけの道よりは、腕と知恵と感性を鋭敏に研ぎ澄まして、精神の限界まで突き詰めながら駆け抜けるコーナーの連続の方が好きだ、というのも一つ。
 よくもまぁ、こんな山奥に…と、先人たちの努力と土木技術の足跡を見るのが感動的だ、というのも一つ。
 何より、そんな酷道険道には、自然のにおいがする。もちろん、車道を付けている段階で、自然そのものとは遠く、あくまでも自然風味なのかもしれないけれど、ヒトのにおいが希薄で、人間の小ささ、よそ者感を肌に感じながらスケールの大きい自然の景色を眺めるのが醍醐だ、というのも一つ。

 だから、ツーリングともなれば酷道険道をルート選定につい織り交ぜてしまいがちで、お気に入りの酷道険道はいろいろあるけれども、この三重県r42は、実に印象深い道だ。
 津市から布引山地を超えて伊賀盆地の入口までを結ぶ筋。途中、県営の安濃ダムまでは、ダム建設に必要だったか、それなりに整備された道だが、すでにダム湖畔でドコモさえ圏外になる。しかし、驚くはそのダム湖が尽き、道もヘロヘロになってからも、集落(跡?)がポロポロ続くのである。

 歴史ある峠ということか。

 人気のしない、深い山中もいいが、どう考えても下界と隔離された山中に、細々と暮らしの形跡が確認できるというのも、衝撃的である。
さらに驚くべきは、峠のてっぺん付近にも、何軒がの民家があるのである。

 その隔離具合、とてもではないが、歩いて行けるような範囲ではなく、新聞配達、郵便配達すら困難な山奥で、いったいどういういきさつでそこに居を構えることとなったのであろう…。

 おっと、なぜかそんな山中で、Y31セドリックの覆面(制服警官が二人乗っていた)に追いついたことがある。あれはなんだったんだろう。覆面に道を譲ってもらったんだけどねww

 そんな山奥でも、民家がある以上は、通行止めにできなかったから、悲劇になったというのだろうか。暮らす人の大変さを思うと、安易に酷道マニアですなどというのも不謹慎なのかもしれないが、一方で、もはやわずかな人々のための集落に投資するだけの財力が残っていないのも、この国の現実。

 どうバランスを取っていくべきなのだろう。