国道ピックとのりもの

ヤマハ・TDR250


主要諸元

全長×全幅×全高(o):2080×785×1215

ホイールベース(o):1385

最低地上高(o):

シート高(o):820

車両重量/乾燥重量(s):/134

乗車定員(人):2

燃料消費率(q/L)50q/h定地走行テスト値:

最小回転半径(m):

エンジン形式:水冷・2サイクル・2気筒・並列

総排気量(p3):249

内径×行程(o):56.4×50

圧縮比:6.4

最高出力(PS/rpm):45/9500

最大トルク(kgm/rpm):3.6/8600

キャブレター形式:

始動方式:キック式

点火装置形式:

潤滑方式:分離給油式

潤滑油容量(L):1.4

燃料タンク容量(L):14

クラッチ形式:

変速機形式:6段リターン

変速比・1速:

2速:

3速:

4速:

5速:

6速:

減速比(1次/2次):/

キャスター(度)/トレール(o):°′/

タイヤサイズ前/後:100/90-18 / 120/80-17

ブレーキ形式前/後:ディスク/ディスク

懸架方式前/後:/

フレーム形式:



 クラブマンが北陸道で逝きました、エンジン開ける必要があります、確実に長期入院になります、しかし翌週にはまたツーリングが控えています、だったらバイクを買い足せばいいじゃん……。

 って、本気で買い足そうと思ってとあるバイク屋をのぞいたら、20万円しない金額でそこそこ面白そうなマシンが何台かある。1台はホンダ・CBX250だったかなぁ、なんしかシングルDOHCの、クラブマンよりちょっと走りに振ったデザインのネイキッドで、それはそれでまだグースの処遇を聞いていなかったし、250tシングルが揃うなら…とも思ったが、もう1台、TDR250にも惹かれた。
 冒頭のノリであるから、別にTDRがどんなマシンかなんてのはこれっぽっちも知らなかったんだが。しかし、2stってやっぱ速いんじゃんって再評価もあるし、20万円もしないというのは、(CBXよりは少し高かったはずだけど)どうせメインに据えるわけじゃないが、ついでならオフもやってみるのもいいかなぁってバーゲンに思え、買い足してしまった。

 88年デビューで、その年より後方排気となったヤマハ・TZR250の前年までのユニットを搭載、足回りをオフ寄りに振った、今でいうところのアドベンチャーを250tの枠内で作りましたよ、といったコンセプトのTDR。デビューが早すぎたのか、わずか2年ほどでフェードアウトしているが、その後ヤマハはTDMという、名前とコンセプトを踏襲したとしか思えぬビッグマシンを登場させているから、先見性はあったんだろう。
 当時の自主規制枠は45ps。オフになろうがきっちり45ps絞り出すユニットが搭載され、ギア比は若干加速寄りに設定されていたらしいが、かっとびぶりは見事だった。直立姿勢で風を受けると大変だが、峠を攻める程度の速度域ではむしろマシンコントロールしやすく、タイトなコーナーほど強かった。ホンダ・CRM250ARは同じ250t2stだが、こちらはシングルらしくトルク寄り、わかりやすく言えばアクセルを開けた瞬間から蹴っ飛ばされるような感じに対して、ツインは当然ながら上までバビューンと回り切ってしまうような元気さで、対照的である。もちろん、2stのツインは4stマルチみたいに下はもっさりなんてことはなく、もうとにかくエンジンが、回りたくてしょうがないって訴えかけてくる。トルクの谷間みたいなのは、少なくともロードを走っている限りでは特に意識することはなかった。もちろん、パワーバンドにきっちり入れて走ることこそが楽しいんだけれど。
 後に、免許取り立ての子に貸したことがあったんだが、そいつ、名神で140km/hで切符切られたらしい。正確なことはわからんが、数値はサバよみするっていうし、巡航で150km/hくらいだったんじゃないか。出るだろうね、不思議じゃない。「こんなバイクでそんなに出しちゃダメだよ」って諭されたそうな(ちなみに、当然初心者講習送りだった)。

 さて、ロードも高速道路じゃなければアップライトなポジションはむしろ楽でいいんだが、せっかくのこの形である。
 オフである。

 最初の250tはCRMだったけれども、こいつでオフは一度も走ることはなかったので、TDRで初めて林道なるものを走った。その妙なサイズゆえ、選べるタイヤは数少なく、当時何を履いていたかもあまり覚えていない。車重もオフ車にしては結構ある。もちろん、全然腕もない。だから、走るのはフラットな、有名どころがせいぜいだったけれども、楽しかったなぁ。ちょっとしたギャップでも、それを乗り越えることが小さな感動だし、何より人気無い自然の中にずいずいと踏み込んでいく感覚が冒険みたいでわくわくした。

 そう、TDRは乗っていた期間こそ短いけれども、ボクがオフを走り出すきっかけとなった、大事なターニングポイントなんだな。たまたま、買い足すからこそついででくっついてきた機能だったんだが。
 結局、腕がないからその重さに限界を感じたのと、たまたま何かの違反で捕まって、速く走ることに嫌気がさして、オフっぽいスクーターのキムコ・トップボーイ100の下取りに出してしまったんだが。

 もうさすがに古いんだけれども、それでもTDRは、今でも欲しいマシンの1台だね。