国道ピックとのりもの

ジレラ・ランナーFXR180


主要諸元

全長×全幅×全高(o):1780×720×

ホイールベース(o):1303

最低地上高(o):

シート高(o):815

車両重量/乾燥重量(s):/116

乗車定員(人):2

燃料消費率(q/L)60q/h定地走行テスト値:

最小回転半径(m):

エンジン形式:水冷・2サイクル・単気筒

総排気量(p3):175.8

内径×行程(o):65.6×52.0

圧縮比:

最高出力(PS/rpm):21/8000

最大トルク(Nm/rpm):19/7000

キャブレター形式:

始動方式:セルフ式(キック式併設)

点火装置形式:CDI式

潤滑方式:分離潤滑方式

潤滑油容量(L):1.8

燃料タンク容量(L):12

クラッチ形式:

変速機形式:無段変速式

キャスター(度)/トレール(o):°′/

タイヤサイズ前/後:120/70-12 / 130/60-13

ブレーキ形式前/後:シングルディスク/シングルディスク

懸架方式前/後:テレスコピックフォーク/ユニットスイング式

フレーム形式:スティールクレードル



 ヤマハ・TDRとホンダ・GB250クラブマンを手放して、一時期高速道路を走るマシンがなくなった。その間、キムコ・トップボーイは下道オンリーだが、長距離ツーリングにも耐えてくれたのだが、やっぱりいざというとき高速を使って時間を稼ぎたい時がある。
 トップボーイは、軽さゆえにオフだけじゃなくて(というか、オフはそれなりだが)ロードでもひょいひょい向きを変えるのが楽しかった。2stで元気いいのもご機嫌だったし、それからメットインスペースがすごく便利だった。

 ということで、高速道路は走れるけれども、とびっきり軽くて、2stで、メットインの備わるスクーターはないかなぁって探し始めてであったのが、ランナー。ほかにも、同じエンジンを採用したイタルジェット・ドラッグスター180や、アプリリア・SR150なんてマシンもあったが、ドラスタはちょっと値段が高めだったのと、SRはスタイルがやや普通のスクーターっぽくて、ランナーを選択した。ホンダ・ジョーカー90以来の新車。初のイタリア車。

 ランナーは、ステップの部分が骨太で、剛性を確保してますデザインがそのまま個性となっている。エンジンは水冷の2st180t(兄弟モデルに125t、50tがある)を搭載し、排気デバイスなどは備わらないものの、21psを発揮する。50tモデルがあることからもわかるように、ボディはごくコンパクトで、せいぜい日本の二種スクーター程度、ウェイトも100s少々である。
 排気量から判断するいわゆるビッグスクーターとは明らかに一線を画する、カッ飛びスクーターだ。

 実際、速い、速い。もちろん180tであるから、その範囲でということにはなるが、アクセルをくいっと開けると、2stらしい二次振動のない、スムーズな吹け上がりのまま、軽い車体はふわ〜っと加速していく。絶対的な動力性能も魅力的だが、さすがはイタリアンというべきか、獰猛なまでにだぁ〜っと加速してからアクセルをぱっと戻した時のスッとおとなしくなる引き際に至るまで、そのエンジンフィールが実に情緒的で気持ちいいのである。そこに絶対的に余裕あるパワースペックと無理なく操れるコンパクトなボディが後押しして、意のままに操る、マシンと一体となる感覚がきわめて強く得られる。そうそう、一体感という意味ではむしろスクーターの無段変速が相性いいのかもしれない。スムーズな回転フィールはそのまま絹のような加速になっているのだから。

 サスの躾も極上だった。ギャップは程よく固く拾い、体にその挙動を的確に伝えるが、不快な振動なく滑らかに路面を転がっていく。乗り心地も快適で、魔法のじゅうたんに乗っているかのような感覚であった。

 イタリア製ゆえの信頼性の低さ…これは避けられぬ。シート下に工具をタイラップのようなもので吊るしているのだが、こいつがちぎれる。ミラーは鏡面を押して調整するのだが、ボロッと折れる。リアホイールとタイヤの噛みがあまりよくないみたいで、時々ベロッとエアが抜ける。冷却水のお漏らしもあったか。だけど、幸い致命的なトラブルに見舞われることは、1万q程度までではなかった。ただ、パーツは高かった。
 実はツーリング中、いつものように乗り換えたらつれが転がしてしまった。フレームはどういうことなかったが、スクーターの宿命ゆえ、カウルがぼろぼろで、それを新品交換しようとしたら、数枚で6ケタに届いてしまった。結局それに追金で新車のランナーに買い替えた。

 実用面は、二種スクーターとしてなら十分か。メットインはフルフェイス1個なら収まる。ステップに物はおけないけれど。ちょっとシート高が高めで足付きには難があるかな。

 どうしても減車しなくちゃいけない事情で、結局2台目も手放したんだが、そしてすでに生産終了からかなりの年月が経ってしまっているので、今改めて手を出そうか、という勇気はちょっとないけれども。でも、時々無性に乗りたくなるのは事実である。